2008年7月 3日 (木)

経済教育シンポジウム「明日の経済教育を考える」

経済教育のあり方を考えるシンポジウムを開催します。
 経済教育では、子どもたちが、私たちの社会の仕組みを知り、そして、そのあり方について考 える力を身につけていく教育を目指したいものです。シンポジウム第1部では、ともすれば金銭教育や自分の利益を最大にする方法だけを教えるという、間違っ た印象をもたれている経済教育のあり方について、各界を代表する識者に、経済教育でできることを掘り下げていただきます。第2部では、小学校、中学校、高 等学校の教育現場での問題点とこれからの展開について、教室での教育、教育行政、経済教育研究、企業の立場から幅広く議論していただきます。
 多くの方の参加をお待ちしております。

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構造変化と日本経済

「構造変化と日本経済」専門調査会報告が、7月2日に公表された。タイトルは、「グローバルに生きる-日本経済の「若返り」を-」。今年の2月から、私も専門委員として参加して、何度も議論してまとめられた報告書である。少子高齢化が確実に進む日本であっても、若者が活躍できる仕組みを作ることができれば、日本経済を「若返り」させることができる。グローバル化時代に日本が成長していくためには、そういう希望のある国にする必要がある。

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ちくま

筑摩書房のPR誌である『ちくま』に、「格差社会で損をしているのは誰か?」という文章を書きました。同じ号に、宮部みゆきさんや斎藤美奈子さんが書いているのをみると、私がなんだか場違いのような印象も受けます。

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2008年7月 2日 (水)

経済学で談合の仕組みを暴く

こんなに使える経済学」(ちくま新書)で、「談合と大相撲の共通点とは」という節を青柳教授と共著で書いてくれた石井利江子さん(社会経済研究所特任研究員)の日本の公共事業の談合に関する論文が、International Journal of Industrial Organizationに掲載されることになったそうだ。この論文は、那覇市の公共工事では、業者の間の貸し借りという形で談合が行われていたことを計量経済学的に明らかにしたものだ。彼女は、茨木市の公共工事で談合が行われた可能性が高いこともこの論文で明らかにしている。彼女は、この茨木市の談合を経済学的に研究した論文で、第10回社研・森口賞を受賞した。今年も社研・森口賞の懸賞論文を募集するので、是非、大学院生の皆さんは応募してほしい。

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2008年6月28日 (土)

女女格差

『女女格差』は、橘木先生の新著。

インパクトの強いタイトルの付け方、ピンクを主体とした本の装丁(しおりもピンク)、と注目を浴びる条件をうまく満たしている。中身も、女性同士の様々な経済的、社会的な格差の実態を、女性にとって重要な人生の意思決定について、分かりやすくデータを元に議論している。著者の思い切った意見が入っているのも橘木先生の本らしい点だ。一般の人はもとより、大学の学部生でもデータをもとに著者の解釈や意見と自分の考えを対比させながら読むのに適している。

著者によれば、「女女格差」という言葉は、ザ・アール社長の奥谷禮子氏が作ったと『結婚帝国 女の岐れ道』(上野千鶴子・信田さよ子著)の52ページに指摘されているそうだ。

私は、『ジェンダー経済格差』の著者の川口章さんから、2000年に玄田有史が『日本労働研究雑誌』(2000年2・3月号)の学会展望座談会で、「「女女間賃金格差」の研究が重要だ」、という発言をしていることを教えてもらった。玄田さんは、研究者としてだけでなく、コピーライターとしての才能をもっている。でも「女女間格差」よりも「女女格差」の方が強烈なインパクトがあるのは確かだ。いずれにしても、うまいネーミングだ。

「女女格差」が大きな注目を集めるのは、女性の社会進出が進んで、キャリアとして活躍する女性が増えていることを背景にしている。逆に、男性の方は、正社員が主流だったのが、非正規雇用で働く人が増えてきたという意味での「男男格差」が発生している。男女平等が進むとともに「男女格差」に代わって「女女格差」「男男格差」という格差が目立ってくる。経済的な環境は変化しても、人々の意識がなかなか変わらないところに、様々な摩擦を引き起こす原因があるのだと思う。

【目次】
第1章 男女格差
第2章 女性の階層
第3章 教育格差
第4章 結婚と離婚
第5章 子どもをもつか、もたないか
第6章 専業主婦と勤労女性
第7章 総合職か一般職か、そして昇進は
第8章 正規労働か、非正規労働か
第9章 美人と不美人
第10章 おわりに

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2008年6月26日 (木)

コーポレートガバナンスの改善が格差対策

ハーバード大学のIan Dew-Becker氏とノースウエスタン大学のRobert J. Gordon教授が、アメリカの格差対策についてVox blog に興味深い論説を書いている。上位10%の所得が上昇した理由は、スーパースター現象、SBTC(技能偏向的技術進歩、要するに高学歴者をより必要とする技術革新)、社長の報酬の上昇という3つ。最初の二つは、市場メカニズムだから、対応策は税による所得再分配を強化することが対策である。しかし、最後の社長の報酬の上昇については、必ずしも市場メカニズムで引き起こされているわけではないので、情報公開とコーポレートガバナンスの改善が有効で、平等をもらたし企業価値も高めるという意味で一石二鳥ということ。

日本では、社長の給料が上がるというよりも、企業の内部留保が増えているのが特徴だ。この点についての対策は、ゴードン教授らの提言と同じで、企業の情報公開とM&Aの活発化を含めたコーポレートガバナンスの改善であろう。それが、労働者や株主への分配を高めることになる。

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2008年6月25日 (水)

グローバルCOE

先週、グローバルCOEの審査結果が発表され、私が拠点リーダーとして申請していたプロジェクトが無事採択されました。これからが大変ですが、しっかり成果を出せるように努力していきたいと思います。

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飢饉の長期的影響

先週、ソウルで開かれた第19回 NBER EASE Meeting に参加して論文を報告してきました。私が報告したのは、人口高齢化が義務教育への公的支出に与える影響に関する論文です。この論文では、少子化は一人あたり教育費を引き上げる一方で、高齢者比率の上昇が一人当たり教育費を引き上げること、現在は全者の影響が大きいが近い将来その効果が逆転し、高齢化により生徒一人あたり教育費が低下する可能性が高いことを実証的に示しました。

報告された論文の中で興味深かったのは、Douglas Almond, Lena Edlund, Hongbin Li, Junsen Zhangの4氏による "Long-Term Effects of Early-Life Development: Evidence from the 1959-1961 China Famine,"という論文です。中国の飢饉の年に生まれた子供たちのその後の社会経済状況を分析したものです。飢饉の年に生まれた子供は、その前後の年に生まれた子供よりも、社会経済状況が悪いこと、その年に生まれた子供が産んだ子供の男女比は女性の方が高いこと、が非常に説得的に示されています。胎児における栄養状態が、長期的な影響をもつことを示す重要な研究だと思いました。

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「格差と希望」本日発売

Kakusatokibo0031 『格差と希望: 誰が損をしているか?』が本日発売されます。

格差と希望 誰が損をしているか?』 大竹文雄
筑摩書房 (ISBN:978-4-480-86383-6)
発売日 2008年06月25日 価格  1,890円(税込)

年金問題、ロストジェネレーション、企業不祥事など、この国の重大事を取り上げ、処方箋を示す。不公平な仕組みを放置させないための、明快な時代診断の書。

目次
はしがき
第1章    資本の論理を問う
       「若者二極化」の弊害―意欲を再生する政策を    
        Column1  新規学卒偏重のデメリット
       「資本の論理」を問う―法制度の整備が急務
          Column2  解雇規制強化の皮肉な結果
        社会に広がる「不安感」―経済学的な思考法必要
          Column3  現在・将来の意思決定と脳科学
        改革阻む既得権の壁―弊害が多い「一律カット」
          Column4  もはや、「低所得者=貧困者」ではない
        戦後システムに変化の兆し―主体的判断が重要に
          Column5 軽い負担、重い負担館
       「二分法」の落とし穴―改革目的、再確認を
         Column6  市場競争とセーフティネット
第2章  リスクと不安
       M&Aの背後に景気回復―ビジョン明確化、奏功
        Column7 プロ野球機構を株式化せよ
       少子化社会の虚実を問う―大国幻想との決別を
           Column8 年金未納は若者の逆襲
       予見困難な改革リスク―専門家の育成が焦点に
          Column9  「災害保険税」を創設せよ
       偏った情報化が不安増幅―冷静な対応を
          Column10  ウィキノミクスで経済政策
      「格差社会」をめぐり論争―市場原理の賢い利用を
          Column11  想定問答・格差社会
       若年層の格差問題をめぐって―打開の道は教育改革に
          Column12  「待ち組」は反省すべき?
第3章  社会の中のグレーゾーン
       「格差」批判と既得権の維持―論争の吟味が課題
          Column13  格差解消に既得権者ができること
       政府の大きさを考える―国家像の議論が必要
          Column14   矛盾
       社会の中のグレーゾーン
          Column15   上限金利問題を考える
       「回復感」乏しい景気回復―今から将来の準備を
          Column16   悪玉論は心地よい
       「小さな政府」と満足度―支出の中身が重要に
          Column17   教育の充実こそ、格差対策の本流
       「働く貧困層」という問題の本質―教育訓練が急務に
          Column18   男女差別解消の思わぬ結果
第4章  格差社会の行方
       「美しい国」を支える経済学―家計も知識武装を
          Column19   経済学は役に立つか
       「平時」こそセーフティネットの構築を―相次ぐ改革の提起
          Column20   地域格差をどう考えるか
       問題と対峙、脱パターンで―感情を排し、本質に迫る
          Column21   人事も経理も中国へ
       少子化時代の「教育改革」―世代間の連帯が重要に
          Column22   脳科学と経済学が教える格差対策
       「雇用の質」と格差問題―冷静な議論が必要に
          Column23   長時間労働を解決するには
       格差に影落とす「国際化」―地道な対策の実行を
          Column24   成長・格差論争の共通の罠
       格差論議―日米に隔たり
       米で深まる最低賃金論争
あとがき

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2008年6月11日 (水)

日本学士院賞授賞式

6月9日(月)に、上野の日本学士院で日本学士院賞の授賞式がありました(NHKニュース)。授賞式には天皇皇后両陛下が出席されました。授賞式の前に、各受賞者がポスターなどを使って研究内容を天皇皇后両陛下に一人5分でご説明と質疑応答をさせて頂く時間がありました。私が所得格差について説明させて頂いたところ、両陛下から若者の格差の問題やその対策についてご質問を受けました。授賞式の後、受賞者と学士院新会員は、皇居でお茶会に招かれました。夜には、文部大臣主催の晩餐会がありました。明治44年(1911年)以来、毎年、学士院賞が続いてきたということに、改めて感銘を受けました。

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