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2005年8月10日 (水)

少子化と税制

少子化を止めるために
税制を活用するべきだという
意見がある。
確かに、少子化そのものが問題であり、
政策的に対応すべきなら、
子供を増やすインセンティブを高める
税制を設計することも意味があるかも
しれない。しかし、問題もある。

第一の問題は税によるインセンティブが
子供の数を増やしたり結婚率を高めるために
どの程度の効果をもつか、ということだ。
効果がゼロということはないだろうが、
子供の有無や結婚の有無によって
子供が増えるほどの税負担の格差を
作ると、その格差はどの程度になるだろうか。
例えば、子供がいない人は年間50万円ほど
税負担が高い、という状況になると、
子供をもったり結婚したいと思う人が
どの程度いるかということである。
年間100万円になったらどうだろう。

少子化対策として効果があるほどの税格差の大きさが、
人々に納得してもらえるのであれば、
こうした政策も有効かもしれない。

第二の問題は、そもそも少子化そのものが問題なのか、
という点である。少子化で問題になってくるのは、
「年金財政が維持できない」、「介護労働が不足する」
という問題である。しかし、年金財政の問題は、
給付固定の賦課方式から発生する問題である。
昨年の年金改革で給付額の削減をいれたのも解決策の
一つである。また、掛金建ての年金制度に変更する
ことで、少子化問題と年金問題を切り離すことが
できる。介護労働の問題は、介護労働が不足するので
あれば、介護労働の賃金率が上昇することになるはずで、
介護労働従事者数が増えていくはずである。
少子化で不要になる仕事も多いのであるから、
労働力不足が心配になることはない。ただし、
介護労働の賃金に規制があれば、人手不足が
発生することになる。

少子化そのもので、経済的な問題が発生すると
思っている経済学者は少ないのではないだろうか。
人口が減少する過程では、一人あたりの資本が
増えていくため、生活水準が上がっていく。
資本が効率的に使われている限り、
少子化によりわれわれの生活水準が
上がるのだから、そのあがった生活水準で
少子化で発生する問題点をかなり
解決することができるはずだ。

われわれが、しなければならないことは、
少子化によって左右される年金制度を
改訂すること、少子化時代にわれわれの
生活水準を決める資本の効率的利用を
促進する制度を作ることではないだろうか。

できるだけ人々の行動に影響を
与えないように税制は設計すべきだ。少子化が
日本経済に年金制度以外のルートで
重大な負の外部性をもつことになる
ということがはっきりしないのであれば、
少子化対策のために、税金を使うというのは
賛成できない。

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コメント

どうもありがとうございます。中身もさることながら、「考え方」というかスタンスの取り方についてお教えいただいたのは有益です。消費税に関しても、先ほど図書館に行って東洋経済の9ページをコピーしてきました。

投稿: すとんこ606 | 2005年8月14日 (日) 15時42分

遅くなりましが、最後のコメントについても、答えてみました。

投稿: 大竹 | 2005年8月15日 (月) 09時33分

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