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2005年10月

2005年10月31日 (月)

応用経済学への誘い

「応用経済学への誘い」 大竹文雄編 日本評論社、が刊行されました

第一章「後悔する人・しない人」(大竹文雄)

経済学に対する批判で最も多いのが、極端な経済合理性についての疑念である。実際、標準的な経済学では、時間を通じた意思決定をする場合に、人々は合理的な意思決定を常にしているため、後悔をすることはない、という前提で理論モデルが構築されてきた。この仮定が非現実的なのは明らかである。第一章「後悔する人・しない人」(大竹文雄)は、経済学における標準的な考え方を拡張することで、宿題を先延ばしにしたり、ダイエットに失敗したりして「後悔する人」を分析対象にできることを示している。経済実験の結果から、人々の多くは後悔をもたらすもとになる「双曲割引」という選好をもつことが示される。そして、双曲割引がアメリカにおける肥満増加の原因であることを紹介し、後悔しない仕組みとして年功賃金が好まれていることが紹介される。

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経済学的思考のセンス

12月に刊行予定の中公新書のタイトルが決まりました。

『経済学的思考のセンス-お金がない人を助けるには』

様々な身近な話題をとりあげて、経済学で考えてみる、という一般向けの本です。

社会人はもちろん、高校生や大学に入ったばかりの人が教科書的ではなく、経済学的に考えることの意味を理解してもらえるように書いています。現在、校正中です。

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2005年10月30日 (日)

10月の「経済論壇から」

日経新聞に10月の「経済論壇から」が掲載されました。

今月は、村上ファンドと楽天の話題をもとにM&A
と景気回復という論点で、様々な論説をまとめてみました。
日本シリーズの結果に言及していたり、直近の論説が
はいっていたいりして、原稿がぎりぎりになってできあがった
のが、読者にばれてしまう形になってしまいました。
 
今月の総合雑誌は経済関連の記事が少なかったのが
原因です。その中で、『一橋ビジネスレビュー』の
M&A特集は勉強になりました。「経済論壇から」
には、2つの論説しか紹介しませんでしたが、
この特集は読み応えがある論文ばかりです。
全て取り上げると、『ビジネスレビュー』
の宣伝だけに終わってしまうので、2つの論文に
しか触れることができなかったのです。

M&Aの実証研究では、意外にM&Aって成功しているのだ、
と分かります。東大の柳川さんの論文では、
M&Aの経済学的な議論がわかりやすくに整理されています。
お薦めの特集です。

『論座』の12月号に、私は共著で原稿を書きました。
実は、総合雑誌に寄稿するのはこれが初めてです。

来月こそは、総合誌に経済関係の記事が多く掲載されて、
余裕をもって「経済論壇」を書けることを祈っています。

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2005年10月 6日 (木)

なぜ選ぶたびに後悔するのか

『なぜ選ぶたびに後悔するのか -「選択の自由」の落とし穴-』
 バリー・シュワルツ著 瑞穂のりこ「訳」
ランダムハウス講談社 ISBN4-270-00038-4

労務屋さんが紹介されたので、私も以前ある研究会でお話したものをアップします。

経済学では、財や職の選択肢が増えれば増えるほど、好みに合った財の消費や職業選択が可能になるので、人々は幸福になると考えてきた。ところが、幸福度を様々な国で比較すると、豊かな国の人の方が幸福とは限らない。逆に、家族をもって個人的な自由が縛られているように見える人や宗教を信じていて宗教によって行動の制約を受けている人の方が、そういう縛りがない人々よりも平均的には幸福である。こうしたことは、基本的な経済学の想定と矛盾してしまう。

著者は、社会心理学者の立場から、心理学、経済学の様々な研究論文をもとに、選択肢が拡がった場合に、「最大化行動」をとっていて「後悔」する可能性の高い人は、不幸になることを説得的に示している。

「最大化行動」の対極に「満足化行動」というアカロフが提唱する“near rationarity”に似た行動様式を著者は提唱している。最大化行動を取るための様々なコストを考えて、相対的な基準ではなく、絶対的な基準を設定し、それを超えていると満足するという行動様式である。著者の研究によれば、満足化行動を取る人は比較的幸福な人が多く、最大化行動を取る人は不幸な人が多く、「うつ」とも関連あるのではないかと指摘している。最大化行動を取る人は、後で後悔したくないから常に最善の選択を心がけ、選択した後も、それが最善であったかチェックするという行動をとってしまう。それが不幸になる理由だ。

 著者は、人はだれでも特定の分野ではこだわりをもっており、最大化行動するが、全ての選択行動においてそうしたことをしていくと、選択の自由が増せばますほど、不幸になっていくと主張する。高卒者におけるフリーター率が職業高校よりも普通科高校で多いという事実や、「やりたいことをみつけろという大人からのプレッシャーがニートを引き起こす」という玄田氏の主張と、この本の著者の主張は一致しているように思える。

 著者自身の研究を背景に「満足化行動」を取りやすくするようなアドバイスを最終章でまとめられており、実用書としての側面ももっている。学問的な裏付けをもって書かれているにもかかわらず、一般書として十分に普通の人も読める優れた啓蒙書である。人々の転職行動や仕事の満足度を考える上でも有益である。

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村上ファンドの阪神電鉄買収

村上ファンドがタイガースの上場を要求しているそうだ。
ここ数年は阪神タイガースが強くなったので
最近は阪神の経営陣に対する批判は少ない。

しかし、子供の頃からの阪神ファンである私は、
現在の経営陣が選手の年俸をケチって弱い球団にするという
今までの経営方針にいつ戻るかもしれない、と心配している。

長い間タイガースを弱いままにしておいた
経営陣がここ数年強くなって固定ファンが増えたことを
いいことに、短期的利益を最大にするために
選手年俸をケチるという戦略をとるのは十分に
予想できる。

その意味で、村上ファンドという外からの規律付けや
上場による株式市場からの規律付けが
加わる方が、市場を通じてファンが経営方針に
影響を与えることができるので、
今後のタイガースの弱体化を防げるのではないか。

ついでに、プロ野球機構そのものも上場してほしい。
外からの規律付けがないことが、プロ野球の低迷の
原因なのだから。

タイガースやプロ野球機構が上場してくれれば、
株価の変動を使ってプロ野球の経済分析を進めることができる
という経済学者にとってのメリットもある(^_^)。

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「個」の変容と社会の活力

「「個」の変容と社会の活力」というシンポジウムを

平成17年11月8日(火)15時00分~17時00分に
中之島で行います。主催は、関西社会経済研究所です。
◆コーディネータ
  大竹 文雄氏 (大阪大学社会経済研究所 教授)
◆パネリスト(順不同)
  橘木 俊詔氏 (京都大学大学院経済学研究科 教授)
  本田 由紀氏 (東京大学大学院情報学環 助教授)
  木島 英治氏 (JOBカフェOSAKAチーフコーディネーター)
関西経済連合会会議室
(大阪市北区中之島6-2-27 中之島センタービル29階)
申し込みは、ココから。

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2005年10月 1日 (土)

編著と新書

10月初旬に、日本評論社から『応用経済学への誘い』という本を私の編集という形で出版します。

応用経済学への誘い』 大竹文雄編 日本評論社
ISBNコード:ISBN4-535-55428-5

第1章 後悔する人・しない人/大竹文雄
第2章 消費者のサーチ行動と情報の仲介業を考える/小西秀男
第3章 フローから失業を考える/太田聰一
第4章 公営住宅をどうすべきか/中川雅之
第5章 公共事業は役に立っているのか/岩本康志
第6章 ファイナンス・パズルへの誘い/齊藤誠・福田祐一
第7章 グローバル化と産業構造/柴田章久
第8章 正しい分布? 正しい関数?/人見光太郎・西山慶之・小西葉子

学部生でも読める内容になっていますので、ご一読頂ければ幸いです。

12月には、中公新書から本を出す予定です。タイトルはまだ正式決定していませんが、賃金格差や不平等に関する様々な話題を、一般向けに書きました。ブログの更新が止まっていたのは、その原稿を仕上げるのに精一杯だったためです。こちらも出版されればよろしく。

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