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2006年5月28日 (日)

「行動経済学: 経済は「感情」で動いている」

弾さんから感想がほしい、という要望がありました。実は、私の所属は、「大阪大学社会経済研究所 行動経済学研究センター」ということで、行動経済学は私の専門の一つです。ニューロエコノミクスの実験も進めています。

さて、友野典男氏の『行動経済学』は、行動経済学の啓蒙書として、いい本だと思います。プロスペクト理論、双曲割引、フレーミングといった行動経済学の標準的な議論に加えて、生まれたばかりのニューロエコノミクス(神経経済学)の最近の研究動向まで、一般読者向けに分かりやすく書かれています。数多くの文献が興味をもてるようにうまく紹介してあって、巻末には、本文で紹介された研究がすべて文献リストとしてまとめてありますから、深く研究したい人は、直接、論文にあたることもできます。ニューロエコノミクスの研究動向を啓蒙的に紹介したのは、この本がはじめてではないか、と思います。

類書としては、多田洋介氏の『行動経済学入門』(日経新聞社)があります。この本も読みやすいですが、多田さんの本の方が、もう少し教科書的です。友野さんの本は、豊富な実験結果の紹介が読み物として面白いと思います。

伝統的な経済学の仮定が間違っているということがある、というのが行動経済学で明らかにされてきています。ただ、合理性を前提とした伝統的経済学が全て間違いというわけでもありません。今を極端に重視してしまい、後で後悔するという双曲割引型の時間選好を前提とした時に、消費者金融の規制はどうすべきか、というのは、後悔しない合理的な人を前提にした時とは大きく異なってきます。でも、人間は非合理だから何でも政府が規制すべきだという議論にはなりません。

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