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2006年8月29日 (火)

論争 格差社会

文春新書から『論争 格差社会』が発売されています。私が「論座」に書いた格差社会に関する論説も掲載されています。格差社会に関する最近の様々な論説が、集められているので、議論を整理するのに便利ではないでしょうか。

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コメント

初めて投稿します。先生おはようございます。
太郎丸と申します。
私は現在塾の講師をしていますが、よく聞く格差社会に興味があります。しかしながら、人が「格差社会」というとき、それは必ずしも所得や生産性といった経済学的な見地からではなく、どちらかというと社会学的、つまり群集心理や疎外感、優越感から金持ちの生活がどうだとか、貧乏人はどういう気持ちなのかとかいう点で論じられているようで、ごった煮になっているように思います。「下流」という言葉が社会心理を反映しているように思います。また、議論にも(私を含めて)「格差社会」について知っていることと知らないこととがあって、問題の認識の違いという点での「格差」が人々の間に見られるように思います。

この問題は古くて新しいように思いますが、引き続き見守る必要があると考えております。

投稿: 太郎丸 | 2006年8月30日 (水) 09時49分

貴方は(タクシーの)規制緩和がなかったら失業者があふれていたという旨の発言をされていますが、規制緩和以前からのプロのタクシー運転手は結果的に泣いています。詳細は僕のブログで述べていますが、参入自由化や台数規制撤廃だけが進んで、悪質事業者の市場からの撤退はまったく起こらず、事故の増加と運転手の相対的な質の低下を招いただけです。貴方の様な知識人の中には「日本のタクシー料金は世界一高い」という間違った認識を持っておられる方が沢山いらしゃる様です。プロフェショナルなタクシードライバーが低賃金で社会に酷使されなければならない合理的な説明を願いたいものです。

投稿: NAGISA TAXI | 2006年10月10日 (火) 01時01分

NAGISA TAXI様、コメントありがとうございました。論点を整理しましょう。

1.規制緩和でタクシー運転手の数が増えたか
2.運転手の平均賃金が低下した問題
3.事故の増加とタクシー運転手の質の低下が生じた問題
4.プロフェッショナルなタクシー運転手は高賃金でなければならないか?

 私が発言したのは、所得格差拡大と参入規制の関連です。参入規制の緩和は、規制以前の既存運転手にとっては賃金低下要因に、新規参入者にとっては、他職種よりも賃金が高くなるという意味で賃金上昇要因になります。参入規制の緩和がどこの格差を拡大させたか、という論点の問題だと思います。NAGISA TAXIさんのご指摘のとおり、既存運転手のみなさんにとっては平均的には賃金低下が発生することになります。でも、もっと低い賃金しか得られなかった人を減らすことに貢献したのは、事実ではないでしょうか。そうでなかったとしたら運転手の数は増えません。
 3番の安全性の問題は、会社別の事故率の公表進めるといった対策が必要なのにされていない、という問題だと思います。NAGISA TAXIさんの事実認識は、私と完全に一致しています。
 4番目については、賃金は需要と供給で決まってくるということが経済学の基本的な考え方です。規制で無理に歪めると問題が発生すると考えます。安全性の問題は、参入規制で解消できる問題でしょうか。どのような規制が望ましいか、という議論をすべきだと思います。

投稿: 大竹 | 2006年10月10日 (火) 12時41分

僕が指摘したいのは、参入規制撤廃(僕は基本的に賛成している)と同時に悪質事業者が市場の中で淘汰される制度があるにもかかわらず、その機能が正常に機能しないが為に、台数が増えて運転手も増えて事故が増えて質が低下し、労働の現場においては、結果的に、社会保険未加入事業者の増加や非合法リース制賃金制度を導入する事業者、僕らプロがあってはいけないと考える営業車両の自宅等への持ち帰り(道路運送法においても違法行為)やはたまたメーター不倒による利用者との利益が合致したための料金不正収受がはびこるという「負」の部分がある事に触れずに、規制緩和の一般論としての「正」の部分だけをことさらに強調する論調が許せないのです。タクシーは地域ごとに許可されています。僕の住む神戸において僕らタクシー事業を監督監査指導する人員は何人いるか知ってますか?5人ですよ。まともに監査する事は物理的に不可能ですよね。しかもタクシーだけをみているわけでは有りませんから。社会保険庁もタクシー会社においては厚生年金の不正未納者(事業者および本人)に対する適切な指導も聞かないし、労働基準監督署は労働者本人からの申し出がないと長時間労働を見てみぬふりなんです。だから僕らは『タクシー運転者資格制度』の導入や『運転者登録地域の拡大』『事業者点数制度』の運用の厳格化を求めて機会あるごとに発言してきたわけです。運賃については今なお認可制になっているわけで、上限適正運賃=適正な原価+適正な利潤として国が定めている以上、国が生活できるまさしく適正な運賃を定める責任があるはずです。このところ運賃認可でいくつか国倍訴訟も起きていますね。僕は何度も大阪市バスの運転手と比較してタクシーの運転手の賃金は妥当なものか?と行政当局に掛け合ってきたし単に需要と供給だけで決まる(決める)ものではないと思います。なぜならば多くに地域のバスは地域の住人の税金で赤字分を補填して存続できているわけで、それらと運賃で競争できるわけもありませんし、公共交通機関としてタクシーを位置ずけるならば、利用者もその産業で働く者も納得できる運賃の制度を作る必要性があると言っているんです。(詳しくは僕のブログの「タクシー運賃改定」を見て下さい。)僕ら運転手の発言と貴方がた知識人による発言では、認めたくないけど、世間は貴方がたの言う事を信じてしまうんです。それが『格差』の正体ではないでしょうか。 

投稿: NAGISA TAXI | 2006年10月10日 (火) 22時15分

NAGISA TAXI様、ありがとうございました。参入規制撤廃に賛成ということでしたら、議論の余地があるのは、私が上げた論点の4番目だけだと思います。
 安全性の問題について情報を公開するという形で担保して、参入規制を撤廃したら、所得水準をコントロールすることはできないと思います。仮に、特定の料金体系のもとでお客さんが多くなって、タクシー運転手の方の所得が上がったとしましょう。参入規制が撤廃されているのであれば、タクシー運転手の数は増えてきて、やがて所得は低下していきます。それが市場メカニズムです。職業選択の自由がある以上、ある職業の賃金が安ければその仕事を選ぶ人が減って、逆に賃金が高ければ参入者が増えるはずです。
 安全に関する情報公開が不十分な現状の規制の仕組みに対するNAGISA TAXIさんのお怒りはもっともです。しかし、参入規制を撤廃と賃金規制は両立しないのではないでしょうか。最低賃金を正当化する経済学の標準的方法は、労働力の買い手独占に市場があると想定するものです。地域的に仕事が特定のものしかない場合に、雇い主が労働者の足下をみて、安く買いたたくという場合です。

投稿: 大竹 | 2006年10月11日 (水) 15時50分

今ひとつ論点がかみ合っていないので、僕の立場(個人タクシー)からもう一度。経済学的な視点でみれば貴方の言っている事は長期的には正しいでしょう。しかし、僕ら労働の現場に直接的に関わっているものにとっては、現状では手放しでは喜べないと言う事です。具体例を挙げて説明しましょう。
一方はプロフェッショナルとして地理歴史接客車両等最高のサービスのタクシー。もう一方は本人にはプロ意識のかけらもなく、違法なリース制賃金の法人タクシーで車両は10年落ち、もちろん社会保険は未納、運転手はこれまた非合法の日掛けやの取立てに日々追われている為に24時間体制でタクシーで生活している(僕らはローソンとか汚れとかホームレスと呼んで揶揄している)。さて貴方はこの二台のタクシーの内どちらに乗りたいですか?ということです。でもパッと見たところでは二台の違いがわかりません。おっと後から来たローソンが運転席から降りてきて何やらあなたに話かけました。どうやら交渉が成立したようです。あなたは正規の料金では10000円かかるところをこの親切なタクシーの運転手さんのおかげで5000円で乗車することができました。
これが神戸での日々繰り返される実態です。こんな中でプロフェッショナルが疲弊していくわけです。タクシーでの統計的な輸送人員は1970年をピークに減少していますし、これから人口減少社会に突入しますから、どんな運賃設定をしても利用者が爆発的に増えることはないでしょう。規制緩和がなされる以前から、近畿では3割が供給過剰と言われていたのです。10年もの間運賃が据え置きどころか大阪なんかはメチャクチャさがりましたね。神戸なんかは大阪に合わせろとお客に強要されるんですよ。
僕らの求めていることはそんな大それたことではなく、悪質な事業者と運転手が市場から排除(撤退)されるべきだと。
僕らは機会あるごとにこの様な実態を放置できないとして行政当局のみならず、消費者に対してもアピールしてきたんです。
国が今までこの様な実態を知りながら野放しにしてきた最大の理由は、雇用対策としてタクシーを利用してきたからです。法を厳格に適用すれば、リース制賃金の事業は成り立たないし、タクシー運転者の資格要件を厳しくすると運転手が集まらない。タクシーの他大量の失業者を受け入れる適当な産業がない為です。国と法人タクシー事業者の利害が完全に一致していたわけですね。その上45歳以上の高齢者を雇い入れる際等に無駄な助成金が事業者に支払われているんです。タクシーは本当は安全性を確保する為には若年層の方がふさわしい仕事です。
これは労働の現場からの視点です。
貴方やその他の知識人は規制緩和がらみでタクシーを論じる時に、いつもそこに働く人間がいるという事を忘れないで下さい。貴方の本の読者のほとんどが経済のこともタクシーのこともシラナイ人なのだから。

投稿: NAGISA TAXI | 2006年10月12日 (木) 09時43分

タクシー業界の現状を教えていただき、ありがとうございました。今働いている人たちのこと、これから働こうとしている人たちのこと、両方を忘れないようにして、議論をしていきたいと思います。

ローソンという表現があるのですね。製造業で生産の現場が外国に移ってしまった場合は、ローソンさんに相当する人は外国にいる、ということになります。輸入品でも質がよければそれでいいではないか、というのが消費者の考えです。

結局は、消費者にサービスや製品の品質についての正しい情報が伝わるようにするということが一番重要なのだと思います。

投稿: 大竹 | 2006年10月12日 (木) 13時29分

僕もそう思います。利用者が正しい情報を得て、利用者側が公正かつ適切にそして自由に選択できる様にするのが産業を健全に発展させることになるのだと思います。その為に乗り場の整備や無線のデジタル化等まだまだやるべきことが沢山有ります。
これだけ法令遵守が叫ばれている世の中でその資質を疑われる経営者が少なからず存在しているのが本当になげかわしい・・・

投稿: NAGISA TAXI | 2006年10月14日 (土) 06時14分

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