« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »

2008年1月

2008年1月30日 (水)

「雇用社会の法と経済」2月12日発売

先日、お知らせした『雇用社会の法と経済』が2月12日発売に決まりました。アマゾンで予約も可能です。実際の法律を対象に専門の法学者がその分野の状況を解説した上で、法学者から経済学者に質問し、それに経済学者が答えるというようなプロセスを経て、本の形にまとめ上げたものです。そういった学際的なアプローチをとっていますので、労働問題に関心のある方なら、法律に詳しい人も経済学に詳しい人も、どちらにも詳しくない人も読んで頂けると思います。

ただし、詳しい目次などをブログでお知らせしたときは、予価4620円(税込)だったのですが、実際には6090円(税込)になってしまいました。行動経済学的には、あんまりよくない価格の提示の仕方になってしまったことが残念です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月23日 (水)

日本は貧しくなっているのか

日本の一人あたりGDPは2000年の3位から18位に急激に下がった。本当にこれだけ急に日本は貧しくなったのだろうか。東京大学の岩本康志教授によれば、購買力平価でみるとそれほど急激に下がっているわけではないと言う。むしろ、為替レートでかつて日本が過大評価されていただけだというのが真相らしい。もっと深刻なのは、国民の本当の豊かさを表す購買力平価でみた日本の一人当たり消費が、一度もOECD平均を超えたことがないことだ。日本は今でもOECDの平均以下の生活水準だということを私たちは自覚すべきかもしれない。逆にいえば、もっと工夫をすれば私たちの消費水準を上げることができるということだ。

岩本教授のブログはお薦めです。

(追記 1月24日)

岩本教授のブログで購買力平価で測った一人あたり実質消費のOECD平均に対する比率の推移をグラフに示されています。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年1月20日 (日)

モラルハザード

昨日と本日、大学入試センター試験が行われた。私は共通一次世代なので、いまだに共通一次と言って、学生からバカにされている。

そのセンター試験の「現代社会」の今年の問題に、モラルハザードが出題されている。ある高校での先生と生徒の会話に関連して、モラルハザードの例として適切でないものを選ばせる問題だ。倫理感が欠如するという意味で日常的に使われることが多い。その意味では、「放送局の職員が放送前の情報に基づいて株取引をする」、という選択肢が入っていたらよかったかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

社交家は肥満、心配性「やせ」多い

1月19日の毎日新聞の報道で「社交的な人や自己中心的な人ほど肥満が多く、心配性の程度が強いほどやせの人が増える傾向にあることが、辻一郎・東北大教授(公衆衛生学)らの大規模調査で分かった。」というものがあった。

この心配性という概念は、経済学で言うと危険回避的だとか損失回避というものに近いのかもしれない。「こんなに使える経済学」(ちくま新書)で池田新介教授が、符号効果という損失回避と関連のある性質が「やせ」と関連していることを実証的に示している。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月19日 (土)

その数学が戦略を決める

エール大学のイアン・エアーズ教授の『その数学が戦略を決める』はタイトルからは想像しにくいが、応用計量経済学がいかに実際に役に立っているかを示した本だ。一般の人も研究者も面白く読める。アメリカでここまで計量分析が実務で使われているのに比べると、日本での使われ方はまだまだではないだろうか。企業も政府も、計量経済学の手法を使えば、もっと生産性が高まることは間違いない。私の研究室の博士課程の学生たちなら、そういう仕事にも十分貢献できるはずだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「見た目」経済学

1月19日(土)の日経新聞「Nikkeiプラス1」の「流行発見」というコーナーで「「見た目」経済学」という記事があります。その中で、

経済学の世界でも「見た目」は注目の的だ。大阪大学社会経済研究所の大竹文雄教授によると、肥満や美男美女など、見た目の違いが所得にどんな影響を与えるか、その原因は何なのかといった研究に、1990年代末から各国の経済学者が取り組む。ちなみに、経済学の専門誌「経済セミナー」の08年1月号の特集は、その名もずばり「ダイエットの経済学」だし、ちくま新書から今月発売された「こんなに使える経済学」の副題は「肥満から出世まで」だ。

と、「経済セミナー」の記事(これは行動経済学研究センターシンポジウムでの報告を中心にまとめたもの)と「こんなに使える経済学」を紹介してもらっています。中村厚史記者に感謝。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月17日 (木)

「こんなに使える経済学」重版決定

こんなに使える経済学」の重版が決定しました。お買い上げ頂いた皆様、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

犯罪と失業

久留米大学の松尾匡さんの犯罪の九割は失業率で説明がつくという文章が注目を集めているようだ。彼が指導した学部3年生の論文を紹介されている。私の『経済学的思考のセンス』も取り上げていただいている。

私自身は、少年犯罪についての実証研究をしたことがあるが、犯罪率全体についてはきちんとした研究はしていない。失業率と犯罪率に関するアカデミックな論文は、数多くあるが、日本の研究は少ない。数少ない研究の中に、社会学者の津島昌寛氏が『日本労働研究雑誌』に発表した「失業・犯罪・年齢」という論文がある。9割かどうかは別にして、海外の研究結果をみても、失業率と犯罪率が関係するのは、間違いないだろう。

ただ、津島氏の研究にしても、時系列相関が高いので、計量経済学的にはまだまだ検討の余地はある。こういう分野についても実証的な研究がどんどん蓄積されていけば、印象論で議論する人が減ってくるはずだ。

先日、日経の経済教室で紹介したヘックマン教授らの研究が日本でもなりたっているとすれば、現在の失業率だけではなく、その年齢層が幼少期だった頃の親の世代の失業率も犯罪率に影響する可能性がある。

昔は、日本の失業率があまり変動しなかったので、分析に用いてもはっきりした実証結果が出ないことが多かった。しかし、幸か不幸か、最近は大きく変動するようになってきたので、分析結果は明確に出やすくなってきた。アカデミックな研究が待ち望まれる。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2008年1月15日 (火)

労働法学における「暗黙の前提」

神戸大学教授の大内伸哉氏が「労働法学における「暗黙の前提」-法と経済学の協同の模索・可能性・限界-」という論文を『季刊 労働法』(219号, 2007.12)に書いている。

法学と経済学は、似たような言葉を使うことがあるが、その意味することが全く違うこともある。前提としている状況が違うことも多い。それをわからずに互いの書物や論文を読むと、見当違いの批判合戦にもなりかねない。大内氏のこの論文には、契約・市場、効率・正義、所得分配など基本的な言葉が、二つの学問でどのようにつかわれていて、どのように誤解されやすいかを丁寧に議論している。彼の議論は、基本的な話に終わらず、不完備契約論の話題にまでわたっている。

法と経済学に関心のある経済学研究者だけではなく、経済学ぎらいの法学者も是非ご一読いただきたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月14日 (月)

脳の特性から経済を解明

本日の日経新聞・経済教室に「脳の特性から経済を解明」というタイトルで、最近の脳科学と経済学の学際研究をいくつか紹介しました。日経ネットPLUSでは、この論説に対して、岡野進(大和総研資本市場調査本部本部長) 、後藤康雄(三菱総合研究所主席研究員・チーフエコノミスト) 、山田久(日本総合研究所調査部ビジネス戦略研究センター所長) 、鈴木明彦(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員)、猿山純夫(日本経済研究センター主任研究員) の 各氏からコメントをいただきました。ありがとうございました。言及した元の論文も紹介しまています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月12日 (土)

フリーマン教授

ハーバード大学の労働経済学者であるフリーマン教授のAmerica Worksは興味深い。

この中で、不平等と効率性に関する経済実験の結果が紹介されている(元の論文はコレ)。被験者に、迷路の問題を解かせる。その報酬の支払い方法が迷路を解いた数だけに依存する出来高払と、グループの中で迷路を解いた数の順位に依存する報酬体系の二つを行っている。さらに、順位に依存した報酬の場合、報酬の不平等の程度を変えている。たとえば、一番の人しか報酬が貰えない場合と2位、3位ももらえる方法である。こうして、報酬体系によって迷路が解けた総数を比較している。報酬体系の格差が大きくなると能力の高い人(迷路を解くのが上手な人)ほど頑張るが、苦手な人はやる気をなくす(特に、出来高払いでの成績が知らされているときはそれが顕著になる)。そのため迷路がとけた総数は、報酬体系が単純な出来高のときと一番不平等な時で少なく、中ぐらいの不平等な報酬の時が一番多かったということだ。インセンティブが強くなると同時に不正行為も増えることも示されていて面白い。

Youtubeでフリーマン教授のインタビューも見ることができる。

マンキュー教授のブログで知りましたが、フリーマン教授はAmerica Worksについて、こんな愉快な番組でもインタビューを受けています。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年1月 7日 (月)

雇用社会の法と経済

書名         雇用社会の法と経済
キャッチフレーズ 法学と経済学の画期的コラボレーション
著訳編者      荒木尚志,大内伸哉,大竹文雄,神林龍/編
著者紹介      東京大学教授,神戸大学教授,大阪大学教授,一橋大学准教授
発売予定      2008年2月上旬
判型、頁数     A5判上製カバー付,320
予価         4400 円(税込 4620 円)
ISBNコード     978-4-641-14385-2
出版社       有斐閣 

解説   雇用システムに関する主要なテーマをとりあげて,法律学と経済学それぞれの立場から,問題の所在,問題解決のアプローチの仕方を整理し,それぞれの分野での議論では看過されていた問題や検討の視角を発見し,より妥当性のある政策論の構築に資する学際研究を試みる。

目次
第1章 解雇規制=荒木尚志・大竹文雄
第2章 賃 金=橋本陽子(学習院大学)・安部由起子(北海道大学)
第3章 高齢者雇用──「エイジ・フリー」の理念と法政策=森戸英幸(上智大学)・川口大司(一橋大学)
第4章 労働時間=小畑史子(京都大学)・佐々木 勝(大阪大学)
第5章 労働条件の変更=大内伸哉・安藤至大(日本大学)
第6章 有期雇用の法規制=両角道代(明治学院大学)・神林 龍
第7章 人事考課・査定=土田道夫(同志社大学)・守島基博(一橋大学)
第8章 雇用平等=山川隆一(慶應義塾大学)・川口 章(同志社大学)
第9章 労災保険=岩村正彦(東京大学)・太田聰一(慶應義塾大学)
第10章 労働紛争の解決手段としてのストライキ=奥野 寿(立教大学)・石田潤一郎(大阪大学)
第11章 総 論(座談会)=諏訪康雄(法政大学)・清家 篤(慶應義塾大学)・大内伸哉・神林 龍

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »