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2008年10月13日 (月)

岡田監督辞任を行動経済学で考える

阪神タイガースの岡田監督が、13ゲーム差を巨人に逆転されて、優勝できなったことの責任をとって、辞任するそうだ。結果的には、勝率0.582で、2位だったのだから、かなりいい成績だ。実際、阪神の歴代勝率でもかなり高いほうだ。でも、夏には阪神の優勝確実と誰もが期待したために、この成績でもファンが、がっかりしたということだ。もし、これが前半戦低迷していて、最後に優勝争いをして、結果的に2位だったとしたら、誰も岡田監督を責めなかっただろうし、来期も岡田監督で続投ということになっていたはずだ。

これは、行動経済学の損失回避や現状維持バイアスと呼ばれる現象の一例だ。リーグ戦前半で、二位と大差の一位でいると、それがファンにとっては、当然のものとなってしまって、それ以下の結果は、満足度を大きく低下させてしまう。ところが、6位から始まっていたならば、最終的に2位になったとすれば、ファンの満足度は非常に高かったはずだ。今年、巨人が2位になったとしても原監督の評価は非常に高かったのではないだろうか。予想されたものよりも上であれば人々の満足度は高くなり、低くなってしまうと非常に低くなってしまう。最終的なチーム成績のみで満足度が決まるのではないようだ。当初の期待との差が、ファンの満足度に大きな影響を与えるのだ。

そうすると、シーズン当初は、低めの成績で行って、後半戦に勝負をかける方が、その逆の戦略をとるより、監督の評価を高めることができるはずだ。でも、それがわかっていてもそういう戦略がとれる監督は、チーム力に恵まれている場合に限られるのかもしれない。

前半戦で、阪神が独走した影響は、セリーグ全体の収益にどのような影響を与えたのだろう。優勝の行方が決まるリーグ戦の最後の方の試合は、あまりテレビの中継がなかった。これは、阪神が早々と優勝を決めそうだったので、リーグ戦の終盤は、消化試合ばかりになると、秋の番組を決定する夏の段階で予想されていたのではないだろうか。そうすると、今年の阪神の期間別の勝率配分は、セ・リーグ全体の収益には、あまり望ましいものではなかったのかもしれない。

プロ野球監督の仕事は、優勝を目指すということが一番大事だ。阪神が一位を独走していたころ、阪神ファンは毎日楽しかったはずだ。その分、最後に逆転されたことのショックは大きい。でも、今年一年のファンの満足度を毎日計測してその合計を測ってみると、おそらく阪神ファンの満足度の方が巨人ファンの満足度よりも高かったはずだ。それにも関わらず、現時点のファンの満足度は、巨人ファンの満足度の方が高い。今回の岡田監督辞任が、来シーズン以降の阪神ファンの幸福度を下げることにならないことを祈る。


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» 阪神岡田監督の人事考課 [吐息の日々〜労働日誌〜]
大阪大学の大竹文雄先生が、ご自身のブログで、阪神タイガースの岡田監督の辞任表明について、経済学の観点からコメントしておられます。 http://ohtake.cocolog-nifty.com/ohtake/2008/10/post-8e53.html 非常に興味深いものなので、ご紹介したいと思います。前半は、行動... [続きを読む]

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