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2008年10月24日 (金)

不完全労働市場の経済学

Bocconi大学のBoeri教授とTilburg大学のvan Ours教授のThe Economics of Imperfect Labor Marketsは、ヨーロッパの大学で教えることを想定した労働経済学の教科書である。アメリカの労働経済学の教科書は、労働供給、労働需要、労働市場といった章建てで、市場を中心とした構成になっている。ところが、日本もヨーロッパも労働市場の不完全性はアメリカに比べて大きい。解雇規制が強い上に、さまざまな労働市場への規制が存在する。本書は、労働市場の制度をそれぞれの章のトピックスにして、労働経済学を学べるように工夫してある。理論、制度、実証のバランスがよくできている。

 目次はつぎのとおり。

Chapter 1: Overview 1
Chapter 2: Minimum Wages 29
Chapter 3: Unions and Collective Bargaining 51
Chapter 4: Payroll Taxes 81
Chapter 5: Regulation of Working Hours 101
Chapter 6: Retirement Programs 121
Chapter 7: Family Policies 139
Chapter 8: Education and Training 157
Chapter 9: Migration Policies 175
Chapter 10: Employment Protection Legislation 199
Chapter 11: Unemployment Benefits 225
Chapter 12: Active Labor Market Policies 255
Chapter 13: Institutional Interactions 277

たとえば、第二章の最低賃金の具体的な構成はつぎのようになっている。
Chapter 2: Minimum Wages 29
2.1 Cross-Country Comparisons 30
2.2 Theory 33
2.2.1 A Competitive Labor Market 33
2.2.2 A Noncompetitive Labor Market 34
2.3 Empirical Evidence 38
2.3.1 Studies Based on Firm-Level Data 38
2.3.2 Studies Based on Natural Experiments 39
2.3.3 Studies Based on Workers' Histories 43
2.4 Policy Issues 44
2.4.1 Should the Minimum Wage Be Reduced or Increased? 44
2.4.2 Is the Minimum Wage Effective in Reducing Earnings Inequality and Poverty? 45
2.5 Why Does a Minimum Wage Exist? 46
2.6 Suggestions for Further Reading 47
2.7 Review Questions 47
2.8 Technical Annex: Fine-Tuning of the Minimum Wage 48

 国際比較、完全競争と不完全競争における理論的整理、最新の実証研究の展望、最低賃金の政策的な議論の整理、文献、練習問題、数学という構成だ。これをベースにオリジナルの論文をもう少し詳しく説明すれば、十分に大学院のテキストとしても使えるのではないか。

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コメント

ここ最近円高・株安が続いてますが、ニッポンは今後2・3年は大リストラが始まり続いていくんでしょうかねぇ…。

投稿: ジャン=ポール=ベルモンド | 2008年10月28日 (火) 00時09分

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