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2008年11月

2008年11月26日 (水)

第3回応用計量経済学コンファランスの優秀論文賞

第3回応用計量経済学コンファランスの開催と優秀論文賞

2008年11月22日と23日の二日間、ホテル阪急エキスポパークで、第3回応用量経済学コンファランスが、大阪大学グローバルCOE「人間行動と社会経済のダイナミクス」の主催で行われました。

このコンファランスは、日本の実証研究の振興を目的に、大学院生および特任研究員レベルの若手実証研究者に論文を報告してもらい、討論を行うものです。本年度は、報告論文を公募し、多数の応募論文から8つの論文が採択され、報告されました。産業組織、労働、金融、財政、住宅、経済発展と分野は多岐にわたり ましたが、いずれも優れた論文で、活発な討議が行われました。なかでも優秀な論文だった、次の3つの論文に対し、プログラム委員会は優秀論文賞を授与することに決定いたしました。講評は、こちらをご覧ください。

第3回応用系計量経済学コンファランス優秀論文賞(アルファベット順)

  • 庄司匡宏(東京大学)"Does Contingent Repayment in Microfinance Help the Poor During Natural Disasters?"
  • 高橋陽子(日本学術振興会)「労働組合は全力を尽くしているか?」
  • Eric Weese (MIT) "Political mergers as a coalition formation game: Evidence from the Heisei municipal mergers,"

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マイクロファイナンスのフォーラム

11月28日(金)に東京でマイクロファイナンスに関するフォーラムがあるそうです。
以下、案内です。

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【フォーラムご案内】  マイクロファイナンスの新地平
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開発と金融の分野を両立させる革新的な小規模金融手法として
世界中で注目を集めているマイクロファイナンス。

その商業化傾向が世界的な潮流になりつつあります。
しかし、日本の金融実務では、
・言語的な問題による情報伝達の不十分さやそのタイムラグの問題
開発は利益提供の機会にならないので金融実務とは両立しないという誤解
によって、未だこの分野への参入に対して消極的です。

このような現状を打開し、日本におけるマイクロファイナンス実務の進展
を目的に、このフォーラムを開催することにしました。
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行動経済学を学ぶための本

「行動経済学に関心があるが、何から読めばいいのか」、という質問を受けた。
そこで、レベルや関心別に、行動経済学の本を紹介してみたい。

・最初の一歩
  マッテオ・モッテルリーニ著『経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

  ダン・ アリエリー著『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』

・もう少し体系的に

  友野 典男著『行動経済学 経済は「感情」で動いている』 (光文社新書)

  リチャード・セイラー著 『セイラー教授の行動経済学入門』

・応用力をつける

  Richard H. Thaler and Cass R. Sunstein 著 "Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness"

・大学学部レベルの教科書

  Nick Wilkinson著"An Introduction to Behavioral Economics"

  John Malcolm Dowling著" Modern Developments in Behavioral Economics: Social Science Perspectves on Choice and Decision"

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2008年11月21日 (金)

予想どおりに不合理

行動経済学に関する啓蒙的読み物の傑作が翻訳された。著者のダン・アリエリー教授は、2008年のイグノーベル賞の受賞者だ。高価な偽薬(プラセボ)は安価な偽薬よりも効力が高いことを示したことに対して医学賞を受賞している。『予想どおりに不合理』は、彼が行った行動経済学に関する様々な興味深い実験結果を、わかりやすく紹介している。どの実験も、驚くほど自由な発想で考えられていることに感心する。それと同時に、人間の行動がいかに予測可能な非合理性をもっているのかを、実験結果から私たちは思い知らされる。

冷静な時とそうでない時に、人間の判断が違ってくることはよくあることだ。でも、冷静な時に、冷静でないときに自分がどんな判断を下すかを、きちんと予想できるだろうか。アリエリー教授は、このことをとんでもない方法で実験している。そういう実験を考え出す研究者も驚きだが、それに協力する被験者がたくさんいるというのも、私にとっては驚きだった。どんな実験か、興味をもたれた方は、是非、本書をお読みになることをお勧めする。私は、彼がイグノーベル賞を受賞したと聞いたとき、この実験が対象になったのか、と思ったくらいだ。実際のイグノーベル賞の受賞対象となったブラセボ実験についても、詳しく解説されている。翻訳はとても読みやすい。英語の原書はこちら、CDはこれ

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2008年11月16日 (日)

定額給付金をめぐる議論のメリット

定額給付金を有効なものに変える方法」というエントリーで、定額給付金の通知に寄付金リストを入れたら、という提案をした。ところで、定額給付金に所得制限をつけるのが難しかったという事実は、この制度の是非を別にして、考えさせる論点が他にもある。

どうしても高所得者に定額給付金を受け取らせたくないのであれば、似たような効果があるのは、所得税率の引き上げだ。一定額の給付を全国民にして、同時に高額所得者の所得税率をほんのわずかでも引き上げれば、定額給付金を高額所得者が受け取ったとしても、高額所得者の可処分所得は増えない。

定額給付金をめぐる議論にメリットがあったとすれば、低所得者に所得の再分配をしたくても、日本では再分配することが非常に難しいということを明確にしてくれたことだ。負の所得税や勤労所得税額控除といった再分配制度が望ましいということを多くの経済学者は同意していると思う。しかし、それが有効に機能するためには、所得の捕捉が正確にされることが必要だ。そうでないと低所得だと偽って給付金を受給する人が増えてしまう。納税者番号がすべての国民に割り当てられていて、即座に所得が把握できるシステムになっていたなら、今回の定額給付金の支給ももっとスムースだったはずだ。それに、消えた年金問題も発生することはなかっただろう。

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2008年11月15日 (土)

年金削減が少子化対策に?

イタリアでは、年金の削減が出生率を上昇させたそうだ。Billari教授とGalasso教授の研究によれば、年金給付水準を引き下げる制度改革の対象になった人たちの出生率は、その対象にならなかった人たちに比べて、高まったということだ。

子供を育てることが楽しいという意味で、子供が消費財なら年金給付の減少という生涯所得の減少は、子供の数を減らすはずだ。しかし、子供が自分たちの老後の生活を支えてくれるという意味で、子供が投資財なら生涯所得の減少は、子供の数を増やすことになる。彼らの研究は、イタリアの制度改革をうまく使って、純粋に年金と出生率の関係を統計的に取り出すことに成功している。その結果は、子供は投資財だということを示している。もし、少子化対策がなにより重要というのであって、日本でもイタリアと同じことがいえるなら、日本の少子化対策への処方箋は明らかだ。

でも、年金を充実してもらった世代は、少ない数の子供を産んで、そのせいで少子化が問題になった人数の少ない世代が年金減額されて子供の数を増やす、というのは不公平な政策ではある。

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定額給付金を有効なものに変える方法

定額給付金そのものが賢明な経済政策ではないことは、既に多くの人が議論している。自主申告による所得制限をつけるというのもナンセンスだというのは、岩本さんも議論しているとおりだ。合理的な個人を想定する限り、自主申告がうまく機能するとは考えられない。誰もが、お互いの所得を知っているような地域なら、嘘をつくことはできないかもしれないが、普通は無理だろう。

そうは言っても、当の自治体の担当者にとっては、定額給付金の支給はやらなきゃいけない仕事だ。彼らはやる以上少しでも意味のあるものにしたい、と願っているはずだ。そこで、こんな案はどうだろう。

定額給付金の支払通知に、いくつかの慈善団体をリストをいれておいて、受給者に希望の団体に、希望する額を寄付することを指定できるようにしておいてはどうだろうか。寄付の手続きを自治体が代わりにするのであれば、受給者の手間はかからない。

高額所得者の中には、金額を受け取りに行くのも面倒だが、受け取らないとそれが国に使われてしまうのも癪にさわる、という人もいるかもしれない。そういう人にとってみれば、自分が望ましいと思う慈善団体に寄付をするというのは、満足度も高くなるはずだ。それに、慈善団体なら、集まったお金を貯金するのではなく、貧しい人たちのためにお金を使ってくれるのだから、需要振興策にもなる。実際、災害の際には、多くの人が寄付をしている。

何かの機会があれば、恵まれない人を助けたいと思っている人は多いだろう。そういう人に、ちょっとしたきっかけを与えるだけで、定額給付金という無駄な制度を、景気対策と所得再分配政策として有効なものに変えることができるかもしれない。

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2008年11月14日 (金)

サントリー学芸賞

今年のサントリー学芸賞の発表があった。
同僚の堂目教授の「アダム・スミス」が受賞した。
この本は、本当に素晴らしいので、一読の価値がある。

堂目 卓生(どうめ たくお)(大阪大学大学院経済学研究科教授)
 『アダム・スミス ―― 「道徳感情論」と「国富論」の世界』(中央公論新社)

担当編集者は、私の「経済学的思考のセンス」と同じ人だ。

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行動経済学会 第2回大会

行動経済学会の第2回大会が、開催されます。
是非、ご参加ください。

<開催概要>
2008年12月20日(土)~21日(日) 会場 学術総合センター (東京神田一橋)

プログラムです。

続きを読む "行動経済学会 第2回大会"

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2008年11月 3日 (月)

日経・経済図書文化賞

第51回 日経・経済図書文化賞が発表されました。

西村和雄・矢野誠著 『マクロ経済動学』 岩波書店
斎藤修著 『比較経済発展論』 岩波書店
川口章著 『ジェンダー経済格差』 勁草書房
阿部彩・國枝繁樹・鈴木亘・林正義著 『生活保護の経済分析』 東京大学出版会
西沢和彦著 『年金制度は誰のものか』 日本経済新聞出版社

みなさん、おめでとうございます。
「生活保護の経済分析」の紹介を11月3日の日経新聞に書きました。

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2008年11月 1日 (土)

教員公募

大阪大学グローバルCOE「人間行動と社会経済のダイナミクス」では、実験経済学と応用計量経済学の任期付き特任助教を一人ずつ公募しています。詳細はこちら

大阪大学社会経済研究所でも任期付き講師を公募しています。詳細はこちら

また、GCOE主催で、11月22、23日に「第3回応用計量経済学コンファランス」を開催します。プログラムはこちら(PDF)。ご参加希望の方はこちらまで。

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世帯内分配と世代間移転の経済分析

同僚のホリオカ教授編集の
世帯内分配と世代間移転の経済分析』(ミネルヴァ書房)
が出版されました。家計経済研究所の「消費生活パネル調査」を駆使したものです。家計内の分配に関する実証研究では、日本の最先端の研究が集められています。

目次です。

世帯内(夫婦間)分配:

(第1章)「世帯内における消費・余暇配分の構造」(坂本和靖)
(第2章)「家計内交渉と家計の消費変動」(小原美紀)
(第3章)「日本における世帯内リスクシェアリングの分析」(澤田康幸)

世代間(親子)移転:
(第4章)「教育を通じた世代間所得移転」(北條雅一)
(第5章)「日本における遺産動機と親子関係」(チャールズ・ユウジ・ホリオカ)

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