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2008年11月21日 (金)

予想どおりに不合理

行動経済学に関する啓蒙的読み物の傑作が翻訳された。著者のダン・アリエリー教授は、2008年のイグノーベル賞の受賞者だ。高価な偽薬(プラセボ)は安価な偽薬よりも効力が高いことを示したことに対して医学賞を受賞している。『予想どおりに不合理』は、彼が行った行動経済学に関する様々な興味深い実験結果を、わかりやすく紹介している。どの実験も、驚くほど自由な発想で考えられていることに感心する。それと同時に、人間の行動がいかに予測可能な非合理性をもっているのかを、実験結果から私たちは思い知らされる。

冷静な時とそうでない時に、人間の判断が違ってくることはよくあることだ。でも、冷静な時に、冷静でないときに自分がどんな判断を下すかを、きちんと予想できるだろうか。アリエリー教授は、このことをとんでもない方法で実験している。そういう実験を考え出す研究者も驚きだが、それに協力する被験者がたくさんいるというのも、私にとっては驚きだった。どんな実験か、興味をもたれた方は、是非、本書をお読みになることをお勧めする。私は、彼がイグノーベル賞を受賞したと聞いたとき、この実験が対象になったのか、と思ったくらいだ。実際のイグノーベル賞の受賞対象となったブラセボ実験についても、詳しく解説されている。翻訳はとても読みやすい。英語の原書はこちら、CDはこれ

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コメント

大竹先生、はじめまして。YO-SHIと申します。読書ブログをやっています。

本書を、私も少し前に読みました。とても面白かったです。

本の中で指摘されている「不合理さ」は、読者にとっても「予想どおり」で、
特に目新しいものではありませんでした。
しかし、それを実験で検証するところが著者の卓越したところですね。
さらに「それならどうすればいいか」まで、いくつかの指摘があり、
多くの人に読んでもらいたいと思いました。

私は、先生の学生時代の学部の3年後輩で、経済学とマーケティングを
学びましたが、「行動経済学」という研究分野を、恥ずかしながら
最近まで知りませんでした。
当時の私のマーケティングの研究に、このような心理学的知見の取り込みや、
実験で検証する姿勢があれば、ずいぶん違ったものになっていたと思います。
 

投稿: YO-SHI | 2008年11月23日 (日) 17時04分

YO-SHIさん、コメントとトラックバックありがとうございました。言われてみれば当たり前でも、きちんと検証するというのが、社会科学の科学たる所以ですね。実験のテーマとその方法を自由な発想で大胆に思いつくことができるというのが、著者の特徴です。そういう発想方法を学ぶだけでも読む価値があると思います。

投稿: 大竹 | 2008年11月23日 (日) 18時11分

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» 予想どおりに不合理 [本読みな暮らし]
 まずは、本書にあるちょっとした実験を紹介。日本でもハロウィンの行事が認知されるようになってきたが、著者がハロウィンの日に家にきた子どもに仕掛けた実験(イタズラ?)だ。キスチョコを3つ渡してこう言う「この他に、小さいスニッカーズをもらうのと、キスチョコ1個と交換に大きいスニッカーズをもらうのとどっちかいい?」... [続きを読む]

受信: 2008年11月23日 (日) 17時06分

» 予想どおりに不合理 [本の宇宙(そら) [風と雲の郷 貴賓館]]
 アダムスミスの昔から、経済学の世界では、人間は、自己利益を求めて完全に合理的な行動をするホモ・エコノミクス (homo economicus) としてモデル化されてきた。元々モデル化とは、物事を分析しやすくするために単純化して、そこから真実の切れ端を見つけようとするための...... [続きを読む]

受信: 2008年12月13日 (土) 12時48分

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