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2009年1月24日 (土)

大貧困社会

 年金や貧困問題を経済学の立場から研究してきた慶応大学教授の駒村康平氏による新著『大貧困社会』はお薦めだ。高齢者の貧困、子供の貧困に関する現状、所得のセーフティネットの不備や医療のセーフティネットの問題、年金制度の問題を分かりやすく整理してくれている。冷静な筆致の中にも、駒村氏の誠実さや温かさが伝わってくる。様々な具体的な政策提言も含まれていて有益である。
 この本のなかで、駒村氏が行った調査で興味深い結果が紹介されている。それは、「大きな政府か、小さな政府か」という質問と「格差拡大か、縮小か」という質問への日本人の回答だ。「大きな政府で、格差縮小」に賛成の人が約20%、「小さな政府で、格差小あるいは格差維持」に賛成の人が約12%、「中規模政府」を望む人が約20%という結果になっている。駒村氏が文句をつけているのは、「小さな政府で格差縮小」を望んでいる約20%の人に対してである。こういう希望は、ないものねだりで、選挙の際のかく乱要因となるというのである。本当にそのとおりだ。私たちは、フリーランチはないことを前提に、社会の制度を設計し、選択する必要がある。

目次
第1章 小泉改革の功罪
第2章 穴だらけの雇用・所得のセーフティネット
第3章 医療セーフティネットの崩壊
第4章 問題だらけの日本の年金制度
第5章 ここまできた日本の貧困問題
第6章 貧困社会への処方箋-崩壊か、存続か、社会保障改革の選択肢

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コメント

>「小さな政府で、格差小あるいは格差維持」に賛成の人が約12%
>「小さな政府で格差縮小」を望んでいる約20%

どっちだにゃー?

投稿: くず | 2009年1月24日 (土) 23時03分

質問に問題がありますね。多くの人は小さい政府を無駄のない政府と思っているではないですか。
オバマも言っているように2項対立ではなにも解決しないでしょう。政府には効果的な政策や法律を効率的かつ公正(フェア)に実施してもらいたいだけです。

投稿: わっきぃ | 2009年1月25日 (日) 09時38分

フリーランチは無いにもかかわらず、そう考える人は一定程度はいると思います。

税負担がない、軽い方のがいいと回答としつつ、日本はスウェーデンモデルを目指せとかいう人が普通にいますから。

旧社会党の公約もそんな感じでしたし……

投稿: 通りすがり | 2009年1月25日 (日) 12時45分

労使分配に関する規制がないと一億総下流社会になりそうな気がするのですがいかがなものでしょうか。

投稿: | 2009年1月26日 (月) 16時06分

コメントする記事を間違えました。正社員の雇用規制緩和に関するコメントでした。すみません。

投稿: | 2009年1月26日 (月) 16時09分

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これは信条によらず誰もが合意すべきことだろう。このような前提が共有されない議論には中身がない。我々は「何を捨てて、何を得るのか」を議論しなければならないのだ。 大竹文雄... [続きを読む]

受信: 2009年1月24日 (土) 22時39分

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