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2009年2月

2009年2月23日 (月)

読書の賢人

本日の日経に大きく小飼さんの写真が載っていた。と思ったら、読書の賢人という企画ページで、私の「格差と希望」も「賢人がおすすめする最強の1冊」の1冊として紹介されていた。感謝。

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2009年2月22日 (日)

有期労働契約研究会

2月22日の日経に、厚生労働省が有期雇用契約の雇い止めに関する新たな規制を作ることを検討するという記事が出ていた。

「雇い止め」制限検討、有期労働対象のルール作りへ 厚労省

 厚生労働省は期間を定めて働く有期労働者の雇用ルール作りに乗り出す。大学教授で構成する同省の「有期労働契約研究会」を通じて、繰り返し更新し ていた有期契約を止める「雇い止め」の制限や、最長3年間の契約期間の見直しなどを検討する。足元の景気悪化を背景に有期労働者の失業が増えていることを 視野に入れ、雇用不安を和らげる方策を探る。

 研究会は23日に初会合を開く。2010年夏までに報告書をとりまとめ、法改正など必要な対応をとる方針だ。

この文面だと、有期雇用契約の雇い止めに関する規制を厳しくするように受け取れる。もし、これが有期雇用の雇い止め規制を強化するものであれば、次に日本の景気が回復しても雇用の回復はずいぶん遅くなってしまうだろう。日本で非正規雇用が増えてきた理由についての基本的理解が間違っているのではないか。正規雇用の雇用保障が厳しいからこそ、有期雇用契約が増えてきたのだ。有期雇用契約の雇い止めが厳しくなれば、その上限の前で雇用契約が終了することが増えてくるだけだろう。結局、有期雇用には非常に短期間の雇用しかなくなってしまい、結果的に不安定雇用が増えるだけになるはずだ。

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2009年2月15日 (日)

出社が楽しい経済学

出社が楽しい経済学」は、インセンティブ、機会費用、サンクコスト、現在価値、比較優位、逆選択など経済学の基本的な考え方を、わかりやすく説明してくれる。現在、毎週土曜日に放映されているNHKの同名の番組からできた本だ。さすがにテレビの制作のプロがかかわっているだけある。ここまでわかりやすく、楽しく解説することができるものなのだ。需要曲線と供給曲線は出てこない。高校の政治経済の教科書もこんな感じにすべきだと思う。

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独学という道もある

 高校へは行かずブラジルで過ごして大検を受け、大学は日本の通信制、そういう経歴で東大の経済学の先生になった人がいる。柳川範之さんだ。ちくまプリマーから出た「独学という道もある」は、彼の体験的エッセイだ。受験秀才でないと学者になれないと思っている人は多い。テストに強いことと研究者として優れているということは、全く関係がないというわけではないが、世の中の人が思っているほどではない。経済学者の世界について、柳川さんがこの本で書いていることは、私の経験からも同意できることばかりだ。
 私は以前、アンケートで、「一流大学卒業、一流企業入社という成功モデルが崩れた今、これからの成功モデルはなんですか」という質問を受けたことがある。その時、私はそのアンケート作成者が、単一の成功モデルしか頭になかった人なんだろう、と感じた。現実には、日本にも結構いろんな価値観があって、様々な成功モデルがあるのに、単一の成功モデルだけを信じてきたのだと思う。実際、それが日本の閉塞感の原因かもしれない。この本は、単一の成功モデルに振り回されている人にこそ読んでもらいたい。自分の向き不向きをどうやって見つけるか、偶然の出会いをどうやって生かしていくか、この本を読むことで学ぶことができると思う。

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2009年2月 9日 (月)

この世ででいちばん大事な「カネ」の話

ヤバい社会学」は、アメリカの貧困層の実態を研究者がなかに入って生き生きと描いたものだ。そういう世界を知らなかった著者が事実を知るたびに衝撃を受けてきた様子がよくわかる。これに対して、「この世で一番大事な「カネ」の話」は、その貧困の世界で育ってきた著者が、実態はこうだと率直に語っている。いかに貧困と貧困の連鎖が深刻であるか、ということを当事者であるからこそ、はっきりと書くことができる。また、労働経済学で補償賃金格差とよばれる仕事の給料の関係についても、体験的でわかりやすい言葉で説明されている。経済学を勉強している人、しようと思っている人は、まずこの本を読むことが大事ではないだろうか。

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2009年2月 2日 (月)

だまされないための年金・医療・介護入門

学習院大学准教授の鈴木亘氏の「だまされないための年金・医療・介護入門」という本は、社会保障がもたらしている世代間不公平の実態を明らかにしてくれる。

鈴木氏の研究によれば、年金・医療・介護という社会保障全体の世代間の不公平は非常に大きい。厚生年金と健保組合に加入してきた1940年生まれの世代は、この3つの社会保障によって4850万円の得をしている。これは、彼らが生涯受け取る給付の総額から生涯に支払う保険料の総額を差し引いた金額が4850万円にも上るという意味だ。では、2005年に生まれた子供たちは生涯でどの程度社会保障制度で得をするだろうか。答えは3490万円の損である。つまり、この二つの世代の差は、8340万円にもなるのである。どの世代で、この関係が逆転しているかと言えば、1960年代前半生まれの世代である。つまり、私の世代だ。私よりも若い世代は、日本の社会保障制度で「損」をする。

社会保障は世代間の助け合い、という言葉があるが、日本の制度は助け合いになっていない。一方的な負担だからだ。もらう方が、若い世代を十分に助けるのであれば、助け合いになるかもしれないが、現実の日本の制度は、若い世代から1960年以前生まれの世代への所得移転にすぎないのだ。これから高い経済成長が続けば、若い世代の負担はたいしたことがないかもしれない。しかし、過去20年間の日本経済の状況をみた上で、将来の日本の高い経済成長を確信できる人はどの程度いるのだろう。そんな不確実な話で若い世代は納得してくれるだろうか。社会保障による世代間の負担格差は、社会保障制度の大幅な改革がない限り、確定していることなのだ。2005年に生まれた子供たちは約3500万円の借金を最初から背負っているのである。

人口構成の変動が大きい時代に、年金・医療保険がどうあるべきか、という基本的な理解を身につけるために、本書をぜひ読んでほしい。

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