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2009年6月11日 (木)

日本経済学会 ポスターセッション

6月6日と7日に日本経済学会春季大会が京都大学で開催されました。よい報告が多く、とても有益な大会でした。なかでも印象的だったのは、藤田昌久先生の会長講演とポスターセッションです。

ポスターセッションは、日本経済学会では昨年の春季大会から取り入れられたばかりですが、定着してきましたし、どんどん良くなっていると思います。今回も会場は盛況で、ポスターも力作が多かったと思います。ポスターセッションのメリットや注意事項が、学会からもこのように広報されていますが、まだ改善が必要なポスターもありました。これに加えて、私自身が感じたことを書いてみたいと思います。

第一に、魅力的なポスターを作成するということ自体が大きな経験として様々なことに役に立ちます。ポスターは数分間で研究の内容をおおまかに理解してもらえるものでなければなりませんし、多くの参加者に見てもらえるような魅力がなければなりません。こうしたプレゼンテーション能力は、研究者として、絶対に身につけておくべきものです。たとえば、学術振興会へのポスドクの申請書にしても科研費の申請書にしても、ポスター作成のノウハウと同じことが要求されます。山のような申請書類を次々と審査員は読んでいくのですから、審査員が読みたくなるような申請書であり、さっと読んで内容を理解できるように書かれていないと、まともに読んでもらません。非常に狭い分野の専門家しかわからないようなポスターであれば、誰も読もうとしませんし、話を聞こうとしません。「面白そうだ」と思わせる工夫が必要です。

第二に、ポスターセッションで一人の参加への説明に長時間かけすぎるのは望ましくありません。いくらポスターセッションであっても、参加者は一枚のポスターに5分かけたとしても1時間で12枚しか見ることができません。15分も説明していると、一時間で対応できる人の数は限られてきますから、潜在的にいいコメントをもらえたはずの人と話をするチャンスを逃すことになります。説明は短くすることです。短い説明で済むようにポスターを工夫しておけばいいのです。特に、専門家はポスターがよくできていればいるほど、ポイントとなる点だけを聞きたいと思うものです。

私は学士院賞の授賞式で生まれて初めてポスターセッションを経験しました。ご説明した相手は天皇皇后両陛下でしたが、説明は3分、質疑応答2分でした。最初はとても短いと感じましたが、よく考えると当然です。聞く方からすれば、一人5分でも全ての受賞者の話を聞き終わるのに、1時間はかかるのです。私も他の受賞者の話を聞きましたが、一流の研究者だけあって、魅力的なポスターで専門外の人にもよく分かるように話をされていました。若い頃からポスターセッションを経験しておけば、私ももっと上手に対応できたと思います。その意味では、今から準備ができる若手研究者は幸せかもしれません。

写真はポスターセッションで報告する私の研究室の大学院生の窪田さんです。Kubota_poster_web

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