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2009年8月 2日 (日)

現在と将来の選択

「10年で家庭の手取りを百万円増やす」という自民の公約に対して、「今の生活が大変なのに能天気。10点だ」とある野党党首が述べたそうだ。確かに、今の所得も将来の所得も両方とも100万円増やす政策があれば、それがいいに決まっている。

 でも、多くの場合は、すぐには効果が出ない。無理に即効性を期待できるような政策を打つと、将来の生活水準が下がってしまうかもしれない。現在、税金をとらないでばらまきをすれば、現在豊かになれるかもしれないが、将来増税になる。増税されてもお釣りがくるくらい将来豊かになっているのであれば、確かにその政策はすばらしい。そういう政策を考えだすことが一番大事なのだろう。それができない場合は、現在と将来のトレードオフを考えた上で、現在の政策を考えるというのが、次善の策だろう。

 ところが、現在と将来で両立不可能な政策もある。環境問題だ。地球温暖化対策にどれだけ費用をかけたところで、効果はすぐにはでない。50年先の地球環境を守るためには、今、二酸化炭素の排出量を減らなけらばならず、そのためには現在の生活水準を落とさなければならない。しかも、効果は不確実である。環境問題解決のために環境税を課すというのは有効な政策である。環境税や環境対策についても「今の生活が大変なのに能天気」ということにならないだろうか。

 年金問題の本質も、将来世代と現在世代の格差にある。格差を解消するためには、現在世代の年金給付を下げるか、年金保険料を上げるしか、将来世代の負担を減らす方法はない。もちろん、これから高い経済成長が達成できれば話は別だ。

 「今の生活が大変なのに能天気」という言葉は、将来のことを考えない立場とも受け取られかねない言葉のように思う。

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コメント

はじめまして。KYと申します。私のサイトの中で、大竹先生の資料・論文を引用いたしました。勝手サイトですので何か申し上げる立場ではないことは承知しておりますが、先生の論文の趣旨と違えたことを引用してはいないか恐れるところはあります。もしそのようなことがありましたら、ご指摘いただければと存じます。

最後に改めて、興味深い論文・資料、ありがとうございました。

投稿: KYs log | 2009年8月 3日 (月) 13時04分

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