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2009年9月26日 (土)

貧者を喰らう国

 とても刺激的なタイトルと内容の本だ。阿古智子著『貧者を喰らう国: 中国格差社会からの警告』は、エスノグラフィック・スタディ(民族誌的研究)というフィールドワークの手法で、中国の格差社会の実態を描いている。

 エイズ村の慟哭、荒廃する農村、漂泊する農民工、社会主義市場経済の罠、歪んだ学歴競争という5つの章から構成されている。社会主義からの移行過程で生じている利権と市場経済の間のすざまじい社会の動きがよくわかる。確かに、中国における格差の大きさ、貧困問題をみると、日本の問題は小さいようにも思える。しかし、著者も指摘するように、これだけ激しい社会変動や格差に耐性がある国民と、それらへの耐性が弱い日本では、ショックが社会に与える影響も違ってくるだろう。

 刺激的なタイトルだが、中身は「煽る」ことを目指していない。著者は時に調査対象の人たちに同情的になりながらも、研究者として冷静さを維持しようと努力して本を書いている点に好感がもてる。

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