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2009年10月24日 (土)

相対的貧困率

厚生労働省が10月20日に相対的貧困率を発表した。(詳細はここPDF)

厚生労働大臣のご指示により、OECDが発表しているものと同様の計算方法で、我が国の相対的貧困率及び子どもの相対的貧困率を算出しました。最新の相対的貧困率は、2007年の調査で15.7%、子どもの相対的貧困率は14.2%。

使っている統計も手法も、今までOECDが出していたものと同じで、特にレベル自体が大きく変化したわけでもない。2006年は、3年前の2003年と比べると1%ポイント上がっているが、2000年は15.1%だったし、子どもの貧困率はその時に比べて低下している。ただ、長期でみるとトレンド的に上昇していることは間違いない。

しかしながら、貧困率を出しただけでは、あまり政策的に役立たない。第一に、岩本さんが指摘しているように、もとになる統計である『国民生活基礎調査』の特性を確認する必要がある。『全国消費実態調査』とはずいぶん異なる数字がでることは間違いない。特に、外国と比較する際には、注意が必要だ。第二に、貧困率の水準そのものよりも変化の方向とその原因を明らかにする必要がある。第三に、可処分所得と貧困が一対一に対応しない可能性もある。所得はないが高額の資産を保有している人であっても、この指標で貧困だと定義される。

 今回の公表では、グループ別の貧困率は、17歳以下の子どもの貧困率というものだけが公表されている。小原美紀さんと私が行った年齢別の貧困率の研究だと、5歳未満のグループの貧困率とその親の世代である30歳代の貧困率が近年上昇している。高齢者の貧困率は近年大きな変化がないが、高齢化の進行で貧困者に占める高齢者の比率は上昇傾向にある。逆に、5歳未満の子どもの貧困率は上昇しているが、少子化のために貧困者の中の子どもの比率が上がっているわけではない。ここに貧困問題の政治的な難しさがある。

 30代と5歳未満の貧困率の高まりの背景には、非正規雇用の上昇、離婚率の上昇などがある。正規社員の夫、専業主婦あるいはパートの妻という組み合わせから、非正規の夫、非正規の妻、非正規でシングルマザーという世帯が増えてきたのだと思う。戦後の伝統的な家族を前提に作られてきた日本の労働法制や社会保障制度が、現実の変化にうまく対応できていないことが根本的な問題だ。「男の非正規化」という現象は、何も労働市場の規制緩和が原因で発生しているのではない。技術革新やグローバル化がその背景にある。

 

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