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2010年11月

2010年11月29日 (月)

不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」

予想通りに不合理』で行動経済学の魅力を多くの人に伝えたダン・アリエリーの新著『不合理だからすべてがうまくいく』が翻訳されて出版された。前作に劣らず面白い。

アリエリーのTEDトークのビデオが日本語字幕付きでみられる。


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ビブリオバトルでの「誘惑される意志」の紹介

阪大の学園祭で行われたビブリオ・バトルで『誘惑される意志』を紹介しましたが、そのときの様子が動画でアップされました。

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科研費NEWS

『科研費NEWS』2010 Vol.2, に「自信過剰が男性を競争させる」(pdf)という研究成果の概要を紹介させて頂きました。この研究は、同じタイトルで『行動経済学』に掲載されています。

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2010年11月16日 (火)

経済セミナー 2010-11 12・1月号

「経済セミナー」の12月・1月号の表紙のデザインができた。アマゾンではもう予約できるみたいだ。安田さんの司会で西田さんと対談したものが掲載されている。

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2010年11月15日 (月)

第5回応用計量経済学コンファランス開催

グローバルCOEのプロジェクトの一つとして、大学院生が研究報告をするコンファランスを各分野で開催しています。そのうち応用計量経済学分野の大学院生の論文報告が行われるコンファランスが、11月13日、14日の二日間にわたって、大阪大学社会経済研究所の万博オフィスで開催されました。

今年のコンファランスのプログラムは、教育、金融、発展論、地域とバラエティに富んだものになりました。どの報告も素晴らしく、その分、討論にあたった教員側もかなり熱がはいっていました。そのお陰でコメントをもらった院生だけでなく、参加者全員にとってとても勉強になることが多かったと思います。

毎回、優秀論文賞を授与しているが、今年の受賞者と論文はつぎのとおり。詳細はここ

 第5回応用計量経済学コンファランス優秀論文賞(五十音順)

 菊地 信義(東京大学大学院経済学研究科)「学習指導要綱改訂の効果の推定」

 那須田 晃子(一橋大学大学院経済学研究科)「土地貸借は資産矛盾効果を緩和させるか?-カンボジア農村の時間使用データを用いた実証分析-」

 森岡 拓郎 (東京大学大学院経済学研究科) 「土地の魅力の定量化-都市内の居住地選択にアメニティが及ぼす影響の分析-」

 みなさん、おめでとうございます。

 GCOEが今回の再仕分けを乗り越えて、来年度も開催できることを期待しています。

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2010年11月 7日 (日)

誘惑される意志

 11月6日(土)に、大阪大学の学園祭「まちかね祭」でビブリオバトルに出てきました。予選を勝ち抜いた学生バトラー3名と浅田稔教授、菊池誠教授と私の3人のゲストバトラーが闘うというものでした。ただし、選択できる本に制約があって、大阪大学図書館と大阪大学未来基金が行っている学生選書という企画で学生が選んできた本の中からしか紹介する本が選べないというものです。

  当日、菊池先生が「教科書とか実用書が多く含まれていて、学生選書の学生の本の選び方に疑問を持った」という趣旨の発言をされていましたが、私もそれは感じました。教科書であれば学生選書という企画でなくても、図書館に言えば図書館は本を購入してくれるはずです。図書館に入っていないけれどもいい本、読みたかったけれども高くて買えなかった本を是非選んでほしいです。

 私が紹介したのはエインズリーの『誘惑される意志』でした。リストの中から読んだもので紹介したいものを幸いにも選ぶことができました。強敵のバトラーばかりだったのですが、幸いにもチャンプに選ばれて、賞状と副賞の「まちかねワニ」の縫いぐるみ「ワニ博士」を頂きました。

 当日の私の紹介内容です。

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 今日紹介させてもらうのは、ジョージ・エインズリーというアメリカの精神科医が書いた『誘惑される意志』という本です。副タイトルは、「人はなぜ自滅的行動をするのか」というものです。いいタイトルですね。装丁もいいですし、見ただけで、誘惑されそうになってしまいませんか。オリジナルのタイトルは、Breakdown of Willですから、直訳だと『意志の崩壊』とか『意志の破綻』でしょうね。副題もありません。日本語のタイトルをつけた人のセンスがいいです。
 
 さて、本の中身の紹介です。
 みなさんの中にも、ダイエットをしようと思って失敗したことがある人、宿題をしようと思っていたのにテレビをみてしまったことがある人、タバコをやめたいのにやめられない人はたくさんいるのではないでしょうか?この本は、人が誘惑に負けてしまって後悔する原因を非常に簡単な枠組みで説明してくれます。いつも誘惑に負けてしまっている人は、この本を読むとその対策がわかるかもしれません。
 
 誘惑に負けるというのは、とても人間的な行動です。誘惑に負けないようとするのが「意志」の力です。「誘惑とそれに対抗する意志」をどのような概念で説明すればいいのでしょうか。
 
 心理学は、人間がどのような場合に、知覚や判断の間違いを犯すのか、ということを明らかにしてきています。でも、それだけだと間違うと誘惑に打ち勝とうとする意志は説明できません。伝統的な経済学は、合理的な人を仮定してきましたから、そもそも誘惑に負けそうになることも考えていません。
 
 そう考えてくると、意志とか誘惑というのをきちんと分析することは意外に難しいことがわかると思います。
 
 そこで、著者が提案する「意志や誘惑を理解する方法」は、「双曲割引」という考え方です。割引というのは、本来の価値よりも小さく評価することです。バーゲンセールで、「定価の2割引」とあれば、商品を定価よりも2割安く売るという意味ですね。私たちは、割り引いて考えるという行動を将来のことを考えるときにもしています。今日1万円もらうのと1週間後に1万10円もらうのとでは、どちらがいいでしょうか?多くの人は、今日1万円もらう方がうれしいはずです。つまり、1週間後の1万10円を私たちは割り引いて考えていて、今の価値は1万円もないと考えているのです。
 
 では、1年後に10万円もらうのと1年と1週間後に10万10円もらうのだとどちらがいいでしょうか。今度は、1年と1週間後を選ぶ人も多いのではないでしょうか。1年も待つのだからもう一週間待つことなんて無視できると感じるのではないでしょうか。
 
 ここに、誘惑が発生します。一年先の選択をさせた人に、1年経ってもう一度、改めてその日にお金を1万円もらうかもう一週間待って10円余分にもらうかを聞けば、約束を破って、その日に一万円をもらうことになるのです。これが一度決めた意志を破りたいという誘惑の特徴です。
 
 つまり直近の将来ほど大きく価値を割り引いて、遠い将来になればあまり割り引かないのです。この割引率の形は、双曲線で表すことができます。双曲線というのは、最初は大きく落ちてだんだん漸近線に近づくとそれ以上落ちなくなります。一方、銀行預金は指数関数で割り引きます。金利が5%だったら今日から1年後も5%、9年後から10年後も5%です。こういう銀行のような考え方ができる人は、一度決めたことを難なく実行できますし中毒にもなりませんし、ダイエットも必ず成功します。
 
 将来の価値の割り引き方が双曲線のようになっていると一度決めたことを破って、その時の誘惑に負けそうになるのです。この誘惑を断ち切るのが意志の力です。意志が強い人は、誘惑に負けないように自分をコントロールします。コントロールできないかもしれない人は、誘惑に負ける選択肢をあらかじめ消してしまいます。ダイエットをする人が甘いものを部屋におかないようにするというのはその一つの方法です。ハトでさえ賢いものであれば、こういう工夫をすることを実験でエインズリーは確かめています。
 
 ただ、過剰にコントロールするのも問題を引き起こすことを、精神科の医者らしく指摘しています。例えば、過剰にダイエットをしようとコントロールすると強迫神経症のようになって拒食症になってしまいます。自分で決めたルールにいつも従っていると、人生が単調になって幸福感がかえって下がってしまいます。後悔をしないという人生がいかにつまらないか、想像してみればすぐにわかります。後悔することの理屈がわかったからといって、問題がすべて解決するわけではないのですが、この本は双曲割引という単純な性質から、私たちの意志について様々なことを教えてくれます。知的興奮を存分に味あわせてくれる本だといえます。

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2010年11月 3日 (水)

2010年度 日経・経済図書文化賞

2010年度の日経・経済図書文化賞が発表されました。
和田一夫『ものづくりの寓話』、細野薫『金融危機のミクロ経済分析』、野田知彦『雇用保障の経済分析』、小塩隆士『再分配の厚生分析』の4冊です。みなさん、おめでとうございます。11月3日の日経新聞に、小塩さんの本への書評を書きました。





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