効率と公平を問う
一橋大学の小塩隆士先生から『効率と公平を問う』(日本評論社)をご恵贈頂いた。
経済学でいう効率性とは何か、公平性や所得格差の問題点はどこにあるのか、教育における子どもの貧困の深刻さ、世代間の所得分配の問題について、著者のオリジナルな研究成果を含んだ最新の研究を、一般向けに分かりやすく解説している。随所に興味深い分析がある。例えば、私立中高一貫校の進学成績を決めるのは、入学時の偏差値がほとんどだが、授業時間が多いことも寄与しているという。また、15歳の時点で貧困だった人は、大学を卒業する確率が20.8%低く、成人後貧困である確率が4.0%高く、幸福だと感じる確率は9.4%低くなる。健康だと感じる確率も11.7%も下がる。この分野に少しでも関心がある人には、得るものがとても多い本だと思う。
目次
はじめに
第1章 効率性と公平性
1 経済学はなぜ嫌われるのか
2 効率性と公平性をどうバランスさせるか
3 世の中の幸せをどうとらえるか
4 なぜ人々は公平な社会を望むのか
5 「大きな政府」と「小さな政府」のどちらがよいのか
第2章 公平性の受け止め方
1 経済学だけで公平性は語れるか
2 人々は格差をどう受け止めるのか
3 格差拡大というイメージはなぜ定着しているのか
第3章 日本の再分配の問題点
1 再分配政策は機能しているか
2 なぜ低所得層ほど高負担なのか
3 消費税率を引き上げて大丈夫か
第4章 効率性と公平性からみた教育
1 経済学は教育をどうとらえるか
2 教育に市場原理は導入できるか
3 学校は教育にどこまで貢献できるか
4 子供の学力は家庭で決まる――中学2年生の数学の点数の決定要因
5 子供の人生は家庭でどこまで決まるか
第5章 世代間のゼロサム・ゲーム
1 世代間格差はなぜ問題なのか
2 経済学者の年金改革論はなぜ批判されるのか
3 どうすれば社会保障を持続可能にできるか
4 民主主義は機能し続けるか
おわりに――本書のメッセージ
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