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2016年9月

2016年9月 6日 (火)

チケット転売問題とチャリティ

チケット転売問題の解決法という私のコラムで一部のチケットをオークションにして、定価との差額を慈善団体に寄付すれば、というクルーガー教授の提案を紹介した。高倍率の一般抽選と高い参加料金によるチャリティ参加者枠という組み合わせは、東京マラソン大阪マラソンのように市民マラソンでは既に使われている。コンサートの場合と違って、マラソンの場合は申込者しか参加できないという意味で参加権が転売できない。それでも、コンサートチケットの転売問題には参考になる。

今後、コンサートの主催者が、チケットの個人認証システムを構築して転売することができないようにした場合に、どのような価格システムにするかということを考える上で有益だ。

仮に、チケット転売が不可能な状態で人気のコンサートチケットの抽選倍率が何十倍にもに達したとする。それでも、アーティスト側は、安いチケットで楽しんでもらいたいと思い、ファンは全て平等で同じ金額で、同じ当選確率でなければならない、という事態が続くのだろうか。熱心なファンの中には、何度応募しても抽選に当選しない不運な人も出てくるだろう。チケット転売もないので、お金を出してもコンサートにいくことができない。そういう状況になったときに、一部の席を高いオークションにするということは一つの選択肢だろう。しかし、オークションでアーティストや主催者側が儲けるのは公正ではない、という価値観があるのなら、マラソン大会で行なわれているようにチャリティ型にすることも考えられるのではないか。

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2016年9月 3日 (土)

チケット転売問題のコラムへのコメントについて

山本一郎さんから「そういえばそういえばチケット転売問題」というエントリーで私のコラムにコメントを頂きました。新規ファンの開拓に安い価格での抽選制度が機能しているという論点です。これはその通りで、ファンとの長期的な関係を重視しているという議論の中に私自身はそれも含めていたつもりですが、確かに説明不足でした。
 

もう一点、私のコラムに対して別の方からもらったコメントグッズの購入のことが書かれていないという批判がありました。なるほど、アーティストから低い価格でチケットを提供してもらっていることへのファンの返礼という贈与交換において、ファンは熱心に応援することでお返しするだけでなく、グッズを購入することでもお返ししているのだと思います。最初から高い価格でチケットを販売するよりも、安い価格でファンに贈与を与えておいて、ファンからの返礼としてのグッズの売り上げによる利益の方が大きいのならば、興行側にとっては、利潤最大化につながると理解できます。

どちらの場合もアーティストや興行側は、ファンのためだけを思って安い価格でチケットを提供して抽選制にしているのではなくて、そうすることは利潤を最大化するための手法であって、せっかくの工夫がチケット転売業者によって乱されているということが、ポイントなのだということだと思います。

もしそうであれば、一部をオークションで売って定価との差額を寄付するというのは、興行側にとってメリットがないということになるのかもしれません。

もう一点、アーティストを熱心に応援する程度は、「いくらまでならお金を出してチケットを買いたいと思うか」という指標は適切ではないという批判も多く頂きました。もちろん、そうですね。熱心さでは人に負けないけれどお金がない、という人も多いです。「チケットを購入するために何時間なら自分の時間を提供してもいいと思うか」という指標なら、行列に並んでもらって購入する制度が適切な熱意の測り方になります。アーティストは、そういう測り方がファンの熱意を測ることが適切で、そういう人にこそコンサートに来てもらいたいので、チケットを安く提供しているのかもしれません。この考え方ならアーティストが最大化したいのは、利潤ではなくて、何時間でもチケット入手に時間をかけてくれるファンをコンサートに集めること、になります。この場合なら、チケット転売業者が存在するとせっかく時間をかけてチケットを入手する仕組みにしたのに、それを壊されてしまう、ということになります。

いろんな要因があるのでしょうね。経済学者としては、「超過需要が明らかな場合に、どうして最初から高く売らないのか」ということを考えてみることが、問題の解決につながるとおもっています。将来的には、研修医のマッチング制度のようにアーティスト側が来てもらいたいと思うファンを選び出せるような仕組みができるのかもしれません。それなら経済学者も活躍できそうです。

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2016年9月 1日 (木)

チケット転売問題の解決法

日経センターのコラムに「チケット転売問題の解決法」を書きました。

前半は伝統的経済学における効率性の考え方からの議論ですが、後半で行動経済学的説明を試みています。最後に、アラン・クルーガー教授の改善提案を紹介しています。
アーティストがどうして最初から高い価格でチケットを売り出さないか、というのが経済学者からの問いで、それをきちんと議論しないと改善策が出てこないのです。辛抱強く最後まで読んでいただければと思います。

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